エステートサービス > エステートサービス公式ブログ > 呟き > 消費者契約法における更新料の考え方­

消費者契約法における更新料の考え方

2009 年 2 月 12 日 木曜日

2009.02.12 Thursday
(2009.2.12)
本日は、普段の物件紹介とやや趣きが違う内容を書いてみます。
日本で引越しが多い時期と言えば、2月~4月にかけて。同時に不動産屋の仕事も2月~4月は忙しくなります。
人生初めての引越し、人生初めてのお部屋の契約が2月~4月という方も多いかと思います。初めてのお部屋の契約はわからない事ばかりです。
そんな中でもよく質問されるのが「更新料」です。



「更新料ってなに?」「更新料払いたくないんだけど」
「毎月家賃払ってるのに、更に更新料を取られるのって納得がいかない!」


お気持ちはわかります。私も若かりし頃、よくわからないままお部屋を借りて2年間が経ち、更新料を払わなければいけないと知り、青ざめました。経済的に困窮していたので、泣く泣くお部屋を退室したという苦い経験があります。

よって、本日の内容は皆さんがお部屋を借りてから払う事になる「更新料」について書いてみようかと思います。
ただ注意してほしいのが、私は小さな不動産屋に勤めているしがないブログ担当者です。
会社所在地こそ「渋谷区神宮前」と立派ですが行っている業務内容は同じです。
司法試験に受かったわけでもなく、大学で法律を専攻していたわけでもないので、法律用語、専門用語を散りばめてもいたるところで誤字脱字の雨あられ、すぐにメッキが剥がれてしまう事でしょう。
ですから、出来るだけわかりやすく噛み砕いて、自分自身も理解を深めるような書き方にしました。




つい先日の平成21年1月30日、京都地裁で、とある訴訟の判決がありました。

【訴訟内容】
「過去に支払った更新料を返せ」

男性会社員のAさんは「期間満了の1か月前までにAさん自身が部屋を退室する申出をしない限り契約は更新継続され、更新継続の際は更新料を支払う」との契約内容でマンションの家主のBさんから部屋を借りました。

契約内容は下記の通り
家賃4万5,000円、期間1年間、敷金10万円、礼金6万円、更新料10万円

Aさんは今まで6回更新し、5回目まで更新料を完済しました。しかし退去後、AさんはBさんに、更新料支払特約は消費者契約法第10条に反し無効として、約50万円の返還を求め提訴しました。

「更新料の支払いは消費者契約法第10条に反し無効だ」

消費者契約法とは、平成13年4月1日施行された新しい法律です。事業者と消費者が契約をすると、どうやっても情報量の差、知識の差等により、消費者が不利になる対等の契約といえないケースがあります。そのような契約ばかりだと消費者が困ってしまう。だから消費者を守ろう、契約を無効にしようという内容の法律になります。
その中の第10条ですが、「消費者の利益を一方的に害する規定は無効とする。」とあります。

つまりこの裁判は
「更新料の支払いは消費者が一方的に害するのかどうなのか」
の判断がされるわけです。
消費者目線で考えますと、お金が出ていくのですから一方的だ!と言えますが、京都地裁の判断は違いました。

【判決】
「更新料は消費者の利益を一方的に害するものとはいえない」

「訴訟は、更新料が「消費者の利益を一方的に害する条項は無効」と定めた消費者契約法第10条に反するのかどうかが最大の争点となった。
「本件の更新料は、契約期間や月額家賃に照らすと過大なものではない」と述べるとともに、原告は更新料を支払う必要性や金額について説明を受けた上で契約していることから、「更新料は原告に不利益をもたらすものではなく、消費者契約法10条で無効とはいえない」と結論づけた。
池田光宏裁判長は「更新料は1年間の賃料の一部の前払いにあたる」と指摘。「消費者の利益を一方的に侵害しているとはいえず、消費者契約法に違反しない」と認定し、原告側の請求を棄却した。原告側は即日控訴する。」(ニュースサイト抜粋)

つまり、
1.契約をする前に更新料を支払う必要性や金額について説明を受けている。
2.本件の更新料の性質は1年間の賃料の一部の前払いにあたる。
3.本件の更新料(家賃4万5千円の部屋で1年間毎に10万円)は、契約期間や月額家賃に照らすと過大なものではない。

よって、「消費者の利益を一方的に侵害しているとはいえず、消費者契約法に違反しない」と認定しました。

【そもそも更新料ってなに?】
まず、更新料とは何なのか。
実は法律的にどのような性質を持っているかについてさまざまな説があり、未だに統一的な見解はありません。

賃貸借契約の更新料でよくいわれるのが
・賃料補充説(周辺の家賃相場と実際の賃料との差額を補充する)
・異議権放棄の対価説(貸主が更新を承諾することの対価として支払う。礼金の更新版
この2つです。実際はこの2つの要素の複合と考えられる場合が多いと思われます。

更新料に関する判例については、様々あり一概にいえません。
それほど「更新料」というものは厄介なのです。


【今回の判決からわかる事】
現在控訴中ですが、一審判決の結果、
契約をする前に更新料について説明を受けていて、その更新料が契約期間や月額家賃に照らすと過大なものでなければ、更新料は契約者の利益を一方的に害するとはいえない
という事がわかります。

本件は京都での賃貸借契約上の紛争でしたが、都内に多くみられる賃貸借契約に置き換えて考えますと

家賃10万円の部屋を契約期間2年で借りた。2年毎に更新料が10万円かかる。
これは契約期間や月額家賃に照らすと過大なものではないと判断できます。

家賃7万円の部屋を契約期間2年で借りた。2年毎に更新料が14万円かかる。
これは判断が難しいと思われます。その部屋の家賃が周辺相場から比べて安い場合、更新料は賃料補充の意味合いと捉えられるかもしれません。が、部屋の家賃が周辺相場から比べて大差ない場合、賃料補充の意味合いでは捉えられないので、無効と判断できます。


【まとめ】
更新料について納得がいかない場合は、更新料が無い物件を探してみるのも1つの作戦です。ただし、私が知る限り、更新料が無い物件というのはかなりレアであります。

よって、契約をする前に
・契約期間は何年間なのか
・更新料はいくらなのか
・住む部屋の家賃は周辺相場と比べてどうなのか
をよく把握してください。

そして1番大事な事
・納得がいかないのならば、借りてはいけない
・契約内容がわからなければ、借りてはいけない
これに尽きます。わからないで質問する事は悪い事ではありません。なぜ、不動産業者が仲介をするのか。それはわからない方に説明をする義務があるからです。説明をするのが仕事なのです。仲介手数料1ヶ月分を受領している以上、わかるまで説明するのが仕事です。
わかったふりをしてはいけません。自分自身を守る為に理解するまで契約書に判子を押さないでください。
その場では納得したフリをして後から揉めてやろう。そのような邪まな考え方はやめてください。判決が出ているように、ごくごく一般的な関東の賃貸借契約(契約期間2年間 更新料1ヶ月)は余程の事がない限り覆せません。

消費者を守る為の法律が出来ても、守られる側が無知だと、その法律はあなたの武器や防具になりません。
守られる側が理解する事を努力しないと、その法律はあなたの為に動いてくれません。

4万円のアパートだろうと、30万円の高級分譲マンションだろうと、それが契約行為をするという事なのです。






Copyright © Estate Servics All Rights Reserved.

▼以下は本サイト時には消去されます。


注意



本サイトはDEMO兼テストサイトです。このページには検索エンジンに登録されないように指定しています。

本サイトは原宿 賃貸 なら エステートサービス株式会社 【公式】をご覧下さい。



META INDEX NOFOLLOWの確認 / Google XMLファイル作成の設定確認 / 各種設定確認
Powered by Web Solution * Notes Co.,Ltd., Tips by Collect Note